外壁材のALCパネルとは?特徴やメリット・デメリットを解説
「ALCパネルって、一体どんな外壁材?」そう思ったことはありませんか?この記事では、ALCの基本から、その驚くべき性能、知っておくべき注意点までを徹底解説します。
ALCとは何か?その特徴や使い方から解説し、ALCパネルの種類についてもご紹介します。
ALC外壁のメリットやデメリット、価格と他の素材との比較について解説します。
1.ALCとは?その特徴や使い方を詳しく解説
ALC(Autoclaved Lightweight aerated Concrete)は、軽量気泡コンクリートの一種です。
頭文字をとった名称になり、高温高圧蒸気養生した軽量気泡コンクリートのことです。ALCの主成分は珪石、セメント、生石灰などが主原料になり、ALC内部に気泡を含んでいるのが特徴です。
1.1ALCの特徴とは?
ALCは、セメント、珪石、生石灰、発泡剤のアルミ粉末を主原料としています。
「軽量気泡コンクリート」という名前のとおり、ALCの重量は一般的なコンクリートの1/4程度で、とても軽いのが特徴です。
1920年代にスウェーデンで開発され、1960年代から日本でも生産されるようになりました。
このALCを板状に成形したものを「ALCパネル」と呼びます。
日本国内で現在ALCパネルを取り扱っているメーカーは下記の3社になります。
・住友金属鉱山シポレックス株式会社
・旭化成建材株式会社
・クリオン株式会社
※ただしALC製品名は各メーカーで異なります。
1-2.ALCパネルの種類について
ALCパネルには、薄形と厚形の2種類があります。
薄形 | 厚形 |
---|---|
厚さ35mm~75mm未満 | 厚さ75mm以上 |
薄形は主に鉄骨造、木造の戸建て住宅、厚形は鉄骨造、鉄筋コンクリート造といった耐火建築物に使用されます。
それぞれ厚み、強度、断熱性、耐火性などが異なります。
例えば、厚形パネルは強度が高く、外壁や床などに使用されます。
薄形パネルは軽量で施工性に優れ、間仕切りなどに適しています。
補強パネルは、さらに強度を高めたもので、耐震性が求められる箇所に使用されます。
断熱パネルは、断熱性能を高めたもので、省エネ住宅などに使用されます。複層パネルは、複数の層を組み合わせることで、様々な性能を向上させたものです。
適切なALCパネルを選ぶことで、建物の性能を最大限に引き出すことが可能になります。
2.ALC外壁のメリットとは?
ALC外壁のメリットは以下になります。
・耐久性、耐震性
・断熱性
・耐火性
・遮音性の高さ
これらの特性が、快適で安全な住環境を実現する上で重要な役割を果たします。
以下では、それぞれの特性がどのように住まいに貢献するのか、概要をご紹介していきます。
2-1.ALC外壁の耐久性・耐震性について
ALC外壁は、優れた耐久性と耐震性を備えている点が大きなメリットです。
ALC(軽量気泡コンクリート)は、軽量でありながらも強度が高く、地震の揺れによる建物の負荷を軽減します。また、無機質素材であるため、腐食や劣化がしにくく、長期間にわたって性能を維持します。
ALC外壁は建物を地震や自然災害から守り、メンテナンスコストを抑える効果も期待できます。
1つの住宅に長く住み続けたい方や耐震性を重視する方にはぴったりな外壁材となります。
2-2.ALC外壁の断熱性と住環境への影響
ALCは、内部に多数の気泡を持つ多孔質構造のため、空気の層を形成したいます。
この空気の層が高い断熱性能を発揮して夏は涼しく、冬は暖かい環境を作りやすいのです。
ALCの断熱性は一般的なコンクリートの10倍に及ぶと言われています。
特に、冬場の暖房効率向上や夏場の冷房負荷軽減は、家計への負担を大きく軽減します。また、急激な温度変化によるヒートショックのリスクを減らすことも、健康面で大きなメリットです。ALC外壁は、断熱性能の高さから、省エネで健康的な住まいづくりに貢献します。
2-3.ALC外壁の耐火性について
ALC外壁の最大のメリットの一つは、その優れた耐火性です。万が一の火災発生時にも、延焼を防ぎ、避難時間を確保する上で非常に重要な役割を果たします。
ALC(軽量気泡コンクリート)は、無機質の材料で構成されており、高温にさらされても燃焼したり、有毒ガスを発生させたりすることがありません。そのため、火災時の二次災害を防ぐ効果も期待できます。
ALCはその優れた耐火性能により、火災から住まいを守り、家族の安全を守るための頼もしい選択肢となります。
2-4.ALC外壁の遮音性について
音は空気の振動によって伝わりますが、ALCは内部に多数の気泡を含んだ多孔質構造であるため、この振動を効率的に吸収・減衰させます。
そのため、外部からの騒音の侵入を防ぎ、室内で発生した音を外部に漏れにくくする効果が期待できます。
ALC外壁は高い遮音性を発揮し、静かで快適な住環境を実現します。騒音が気になる地域や、楽器演奏など音を出す機会が多い家庭にとって、ALC外壁は非常に有効な選択肢となるでしょう。
3.ALC外壁のデメリットとは?
非常にメリットが多いALCパネルですが、デメリットも存在します。
ALC外壁は、水分を吸収しやすい性質があり、適切な防水対策が不可欠です。また、初期費用は他の外壁材と比較して高くなる傾向があります。
これらのデメリットについて、以下で詳しく解説していきます。
3-1.ALC外壁の水分吸収性について
ALC外壁のデメリットとして、水分吸収性が挙げられます。
ALCは多孔質という性質上、毛細管現象により表面から多孔中に水が浸透しやすい性質があります。
内部に水分が浸透すると、凍結による膨張でひび割れが発生したり、カビや藻が発生しやすくなったりする可能性があります。
これらの影響を避けるため、ALC外壁には適切な防水対策が不可欠です。塗装による防水処理や、シーリング材による隙間の充填などが有効な対策となります。
また、ALCパネルは1枚あたりの大きさが他の外壁材よりも小さめに設計されています。
その分つなぎ目も多くなってしまいます。
したがって定期的なメンテナンスを行い、防水性能を維持することが、ALC外壁を長持ちさせる秘訣です。
3-2.ALC外壁の価格と他の素材との比較
ALC外壁の価格は、他の外壁材と比較して高価になる傾向があります。
ALCの価格が高い理由は、製造プロセスに手間がかかることや、高い性能を実現するための特殊な材料を使用しているためです。
同じ家に長く住み続けたい方にはおすすめな外壁材ですが、価格面を重視するかたにとってはデメリットとなります。
ALC外壁は、材料費、施工費、メンテナンス費などが他の外壁材よりも高くなる場合があります。
しかし、その耐久性や断熱性、耐火性などの性能を考慮すると、長期的なコストパフォーマンスは優れていると言えるでしょう。
初期費用はかかりますが、メンテナンス頻度が少なく、建物の寿命を延ばす効果も期待できます。
4.ALCと他の外壁材との違いは?
定番の外壁材である「サイディング」「モルタル」「タイル」とALC外壁の違いを解説します。
・ALC外壁
・サイディング
・モルタル
・金属サイディング
・タイル
外壁材の種類 | 耐久性 | 耐震性 | 断熱性 | 耐火性 | 遮音性 | 初期コスト | メンテナンスコスト |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ALC外壁 | ○ | ○ | ◎ | ◎ | ◎ | × | △ |
窯業系サイディング | ○ | ○ | ○ | ◎ | ○ | ◎ | △ |
金属系サイディング | ○ | ◎ | ◎ | ○ | ○ | ◎ | △ |
モルタル(※) | ○ | ○ | ○ | ◎ | ○ | ○ | △ |
タイル | ◎ | △ | ◎ | ◎ | ○ | △ | ◎ |
※職人の技量によって異なる
4-1.ALCとサイディングの違いについて
サイディングは、建物の外壁に張る仕上げ用外壁材の一種です。サイディングには、「窯業系」「金属系」「木質系」「樹脂系」の4種類がありますが、ここでは外壁でよく使われる「窯業系サイディング」と「金属系サイディング」について解説します。
<ALCとサイディングの違い>
- 素材:ALCは無機質、サイディングは多様
- 重量:ALCは軽量、サイディングは種類による
- 断熱性:ALCは高い、サイディングは種類による
- 価格:ALCは比較的高価、サイディングは幅広い
- デザイン:ALCはシンプル、サイディングは種類豊富
ALCは断熱性や耐火性に優れていますが、吸水性が高いため、適切な防水処理が必要です。サイディングはデザインが豊富で、比較的安価に入手できますが、ALCに比べて断熱性や耐火性は劣る場合があります。
どちらを選ぶかは、予算、デザイン、性能などの要素を考慮して決定することが重要です。
4-2.ALCとモルタルの違いは?
モルタルは、セメント、砂、水を混ぜ合わせたもので、職人が現場で塗り付けるため、自由なデザインが可能です。壁に直接塗っていくためつなぎ目がなく、シーリング材による補修の必要がありません。
一方で、ALC(軽量気泡コンクリート)は、工場で生産されるパネル状の建材であり、均一な品質と施工性が特徴です。
ALCとモルタルの違いは以下の通りです。
<ALCとモルタルの違い>
- デザイン性:モルタルは自由度が高い
- 品質:ALCは均一
- 施工性:ALCはモルタルより容易
- 耐久性:ALCはモルタルより高い
- 価格:モルタルはALCより安価
モルタルはつなぎ目が無い分、ひび割れしやすいというデメリットがあります。
シーリングの補修が面倒な方やモルタルの独特な味わいが好きな方はモルタルがオススメです。
4-3.ALCとタイルの違いについて
タイルは、土や石を高温で焼き固めたものです。
とても固く、水をほとんど吸収しないため、耐久性に優れています。また、ほかの外壁材よりもメンテナンスが楽で、補修費用も安く済むのがうれしいポイントです。
タイルの重厚感は魅力の一つですが、タイル自体は重量があります。
そのため強い地震等が発生した際にタイルが落下する恐れがあります。
そして、施工難易度が高いため職人の技術力に左右されます。
ALCは比較的安価で施工しやすい一方、デザインの自由度はタイルに劣ります。
タイルは高級感があり、耐久性にも優れていますが、初期費用が高く、施工にも手間がかかります。どちらを選ぶかは、予算やデザイン、求める性能などを考慮して検討することが重要です。
5.ALC外壁の注意点は?
ALC外壁は、その特性上、以下の④つの点に注意が必要です。各項目について、詳しく見ていきましょう。
・防水性の高い塗料を選ぶ
・10年を目安にメンテナンス
・シーリングの補修
・遮音性・防音性は物件によって変わる
5-1.ALC外壁の塗装には防水性の高い塗料を選ぶ
ALC外壁の注意点として、防水性は特に重要です。
ALC(軽量気泡コンクリート)は多孔質であり、水を吸収しやすい性質を持っています。そのため、適切な防水対策を施さないと、雨水が内部に浸透し、建物の劣化を早める原因となります。
そのため外壁表面に使用する塗料は防水性の高い塗料を選ぶようにしましょう。
これらの対策を怠ると、内部結露や凍害によるひび割れ、カビの発生などを招き、ALCの耐久性を著しく損なう可能性があります。
防水対策をしっかりと行い、建物を長持ちさせましょう。
5-2.ALC外壁のメンテナンスについて
ALC外壁のメンテナンスは、建物の寿命を延ばすために不可欠です。
10年を目安に行うようにしましょう。
ACLパネル自体の耐久性が高くても、塗装は時間と共に劣化してしまい防水性が失われてしまいます。
メンテナンスを定期的に行うことで、ALC外壁の劣化を抑制し、長期的に建物を保護することが可能です。
特に、シーリングの劣化は雨水の侵入を招き、内部構造の腐食につながるため、早めの補修が重要です。適切なメンテナンスを計画的に実施し、ALC外壁を長持ちさせましょう。
5-3.ALC外壁のシーリング(コーキング)の重要性
ALC外壁において、シーリング(コーキング)は非常に重要な役割を果たします。
シーリングは、ALCパネル間の隙間を埋めることで、雨水の浸入を防ぐ防水性を確保する役割を担っています。ALC自体は吸水性があるため、シーリングの劣化は雨漏りの原因となり、内部の腐食や構造の劣化に繋がる可能性があります。
シーリングは、紫外線や温度変化などの影響を受けやすく、経年劣化によってひび割れや剥がれが発生します。定期的な点検とメンテナンスを行い、必要に応じて打ち替えや増し打ちを行うことが重要です。シーリングのメンテナンスを怠ると、ALC外壁全体の寿命を縮めることになりかねません。ALC外壁の美観と性能を維持するためにも、シーリングのメンテナンスは不可欠です。
5-4.ALC外壁の遮音性・防音性の注意点
ALC外壁の遮音性・防音性には注意が必要です。ALC自体は高い遮音性を持つ素材ですが、施工方法や開口部の処理によっては、その性能を十分に発揮できない場合があります。
ALC造の集合住宅の場合、住戸と住戸の間を仕切る戸境壁(こざかいかべ)にもALCパネルが使われているとは限らず、「思ったよりも音が響く」と感じる方もいるかもしれません。また、窓やサッシ、換気扇なども、家の防音性能に大きく影響します。
これらの要素が不十分だと、ALCパネル自体の高い遮音性能を活かしきれず、外部からの騒音が侵入しやすくなります。特に、パネル間の隙間や開口部は音の侵入経路となりやすいため、シーリング材などでしっかりと塞ぐことが重要です。また、換気口や配管貫通部も、音の伝わりやすい箇所なので、防音対策を施す必要があります。
ALC外壁を選択する際は、施工業者と綿密な打ち合わせを行い、遮音性能を最大限に引き出すための対策を検討しましょう。
6.ALC外壁の穴あけについて注意すべきポイント
ALC外壁への穴あけは、特に注意が必要です。下地処理を怠ると、ALCパネルの破損や性能低下に繋がる可能性があります。
理由として、ALCは多孔質という性質上、吸水性が高く、通常の木材や金属とは異なる特性を持っているからです。そのため、安易に穴あけを行うと、ひび割れや欠けが発生しやすくなります。
これらの注意点を守らずに穴あけを行うと、雨水が浸入し、内部の鉄筋を錆びさせたり、断熱性能を低下させたりする原因となります。
したがって、ALC外壁への穴あけは、専門業者に依頼するか、十分な知識と準備を持って慎重に行うことが重要です。
7.ALC外壁にする際の塗装会社選びのポイント
ALC外壁の塗装は、専門的な知識と技術が求められるため、塗装会社選びは非常に重要です。
適切な業者を選ぶことで、ALC外壁の性能を最大限に引き出し、長期的に建物を保護することにつながります。
<塗装会社選びのポイント>
- 実績と経験の確認
- 資格と許可の確認
- 見積もりの詳細
- 保証とアフターフォロー
- 口コミや評判の確認
これらのポイントは、塗装業者の技術力や信頼性を判断する上で非常に重要です。実績や資格を確認することで、業者の専門性を評価できます。また、見積もりの詳細や保証内容を確認することで、後々のトラブルを避けることができます。
モレナシホームはALC外壁塗装も行っております。外壁塗装は、建物の寿命を左右する重要な工事です。慎重に業者を選び、安心して任せられるパートナーを見つけましょう。
まとめ
ALC外壁の採用は、住まいの快適性と安全性を高めるための有効な選択肢の一つと言えるでしょう。
ALC(軽量気泡コンクリート)は、優れた性能を持つ外壁材ですが、特性を理解し適切な対策を講じることが重要です。
これらの要素を総合的に考慮し、専門家と相談しながらALC外壁の採用を検討することで、理想の住まいづくりに近づけるはずです。 ALC外壁のメリットを最大限に活かし、快適で安全な住環境を実現
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